2023-08-01 最終更新日 2023-08-02 阿弥陀石棺仏と花供養塔(渋谷区東3丁目・福昌寺) 文化財・史跡 供養塔全般 風変わりな石仏石神 東京都渋谷区東3丁目の渋谷山福昌寺(探訪日:2023年7月27日) 本堂を含む建物は近代的な建築です。山門をくぐって左手を見ると石仏と石塔が目に飛び込んできます。石仏は写真だと伝わりづらいですが、なかなかの大きさです。 解説板 東三丁目10番13号曹洞宗 渋谷山 福昌寺区指定有形文化財 平成十九年三月一日阿弥陀石棺仏 石棺仏とは、古墳時代の石棺を転用して、そこに仏像を彫り込んで路傍に立て庶民が礼拝の対象としたものです。本石棺仏は、古墳時代中後期頃の家型石棺の蓋を利用しており、その内側は長方形に彫り窪められています。中心部に表されるのは蓮台上に立つ阿弥陀如来像で、船形光背を負い、来迎印を結ぶ姿が浮彫りされています。現存する阿弥陀石棺仏の多くが坐像であり、このような立像は稀な例になります。 この石棺蓋の材質は、兵庫県高砂市・加西市付近を産地とする播磨竜山石と考えられます。石棺仏が彫られた時期は、その像容や年紀を持つほかの作例から見て、南北朝時代頃と推定されます。現状は石棺蓋の上端部に物が奉置されるような窪みが穿たれていますが、阿弥陀如来像や蓮華座に破損や摩滅等がほとんど見られず、保存状態は比較的良好です。 この阿弥陀石棺仏は、和歌山県那賀郡から運ばれて来たものと伝えられ、昭和二十五年頃に造園業を営む東光園が入手して当寺に寄進したもので、東京では本例のみという珍しいものです。渋谷区教育委員会 刻銘「銘不詳」 石棺仏の納められた堂宇から少し遠くに「花供養塔」の主銘が刻まれた石塔が由来碑を伴って立っています。 花供養塔由来記 花は天地自然の美しき心を姿色香にあらわし、人の世の喜怒哀楽につけて、その人の心を和げ慰め励まし無量の福楽を与え来れるものなり。その花を己が商とすることを天職と思い、花を愛し、花と天地自然に感謝しつゝ生花を商う、願心の施主横山サタ及び同業の有志相寄りて、人々の心を慰め散り行ける多くの花の命に感謝し慰霊せんものと、渋谷山福昌寺の聖域を卜し、茲に供養塔を建立し、併せて施主家の家門興隆同業有志各家の繁栄、業界の発展を祈念するものなり。昭和丙辰五十一年四月吉日花供養塔建立協賛会 刻銘「福昌二十世宗伯専正書」 福昌寺の所在地