石仏石神を求めて

おもに石仏・石神などの石造物を探訪

庚申塔2基と馬頭観音塔(杉並区下高井戸5丁目・庚申堂)

東京都杉並区下高井戸5丁目の庚申堂(訪問日:2023年11月18日)f:id:nagatorowo2:20231213133944j:image鎌倉街道沿い、三叉路に目新しい庚申堂が建っています。
f:id:nagatorowo2:20231213125131j:image石造物が所狭しと置かれています。
f:id:nagatorowo2:20231213125110j:image由来碑も設置されています。

由来碑 庚申堂由来の碑

当堂宇には庚申塔二基馬頭観音塔一基を安置す この由来を尋ぬるに庚申 馬頭観音信仰の風往昔わが国に伝わり広く庶民の間にひろまる やがて近世中期に至る頃より石塔の建立盛んとなり下高井戸村もまたこの風を受く 元禄八年十一月吉日鈴木七兵衛ら十一名相図りて一基を建立す 向って左側の庚申塔これなり 塔は合掌六臂の青面金剛尊像に日月三猿を配す庚申信仰最盛期の典型なり ついで翌元禄九年十一月吉日吉田佐市郎ほか十四名また文字を配した庚申塔を建立しここに安置す 中央の石塔これにして型は質素ながら村民の淳朴な信仰心を知るにたる 庚申塔建立より年は流れて百六十余年荒川氏なる人向って右側の馬頭観音塔を建立し愛馬の供養となす これ南無妙法蓮華経と刻み日蓮信仰に習合せし馬頭観音にして類例まれなる石塔なり この三基の石塔安置の所は旧鎌倉街道と伝えられし古道に面し真近く玉川上水の清流を望むかつての景勝の地にして村内安全五穀豊穣を祈願するの地にふさわしく村民の親しく参拝するところなり 石塔の建立されて幾年月その間歴史は移り景観また昔日の面影を変えれど人々の信仰厚く絶えることなく連綿として続き石塔もいささかの損傷なく今日に至る。ここに昭和六十年四月の吉日を選び先人信仰の余徳を偲び由来を記して後世に伝えんとす

庚申堂世話人

昭和六十年四月建之(株)廣瀬石材店刻

背面の寄進者芳名には近くの寺院・宗源寺の住職の名が連なっていました。
f:id:nagatorowo2:20231213125113j:imageもう一基の石碑は記念碑です。

記念碑 上町親交会創立六十周年記念事業

元禄八年(1695)より町の歴史的文化遺産として上町親交会の中央に位置し 防犯防火地震交通安全に私たち町を守って三百十余年と由緒ある庚申堂です 永い間先人たちの心を大切に受け継いでまいりましたが 月日の経過により其処ここに傷みがでて特に樹木の腐れがひどくなりましたので 上町親交会創立六十周年記念事業の一環として 昭和三十六年以来の皆様のお賽銭と下記皆様方のご奉納により燈籠及び玉垣改修工事を実施し先人信仰の余徳を偲び由来を記して後世に伝えんとす

平成二十二年四月吉日 上町親交会庚申堂保存会

代表 島﨑義正


f:id:nagatorowo2:20231213125135j:image「庚申堂」扁額。昭和四十三年四月吉日に奉納されたようです。
f:id:nagatorowo2:20231213125146j:imageおりんと賽銭箱など。すべて新調されています。
f:id:nagatorowo2:20231213125139j:image由来碑にならって向かって左から紹介します。
f:id:nagatorowo2:20231213125121j:image青面金剛庚申塔(一面六臂)

刻銘「元禄八乙亥年十一月吉日(1695) / 武州多摩郡野方領下高井戸村 / 奉寄進庚申供養」


f:id:nagatorowo2:20231213125124j:image文字庚申塔

刻銘「元禄九年丙子十月吉日(1696) / 武州多摩郡下高井土村(?) / 奉庚申信仰敬白」※由来碑には十一月とありますが、「一」に見えるのは後世についた傷と判断しました。


f:id:nagatorowo2:20231213125142j:image馬頭観音塔(題目馬頭観世音塔)

刻銘「紀年銘不詳(未確認) / 南無妙法蓮華経馬頭觀世音」

庚申堂の所在地