石仏石神を求めて

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青面金剛像庚申塔2基(狛江市中和泉5丁目・山谷庚申塔)

東京都狛江市中和泉5丁目の山谷庚申塔(訪問日:2023年10月14日)

f:id:nagatorowo2:20231016230455j:image品川道沿いの閑静な住宅街の一角に、「山谷庚申塔」という立札とともに立派な堂宇が建っています。
f:id:nagatorowo2:20231016230502j:imageその前に解説板が設けられていました。
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解説板 山谷庚申塔
この庚申塔は狛江市に二十五基残っているもののひとつで、本尊は青面金剛といい、右側が宝永元年(一七〇四)、左側が文化元年(一八〇四)に建立されたものです。宝永の塔の青面金剛像は合掌し、斧・矢・索(縄)・弓を持っており、他の青面金剛像が持っている矛・宝輪ではなく、そのかわりに斧や索を持つ例は珍しいとされています。開墾・五穀豊穣を祈願したのかも知れません。
 上部左右には日月、青面金剛像の下には大きな三猿、基部には蓮の葉と蕾が彫られています。そして「奉造立庚申像一尊武州多麻郡和泉村 敬白/千時宝永元甲申天霜月良辰同行三十壱人」の銘があります。
 庚申とは干支の「かのえ・さる」を指し、六十日ごとにめぐってくる庚申の日には、夜を徹して庚申様に長寿を願う行事を行ってきました。これ
を庚申待ち、または庚申講といいます。
この行事は中国の道教に由来しており、習俗として日本に伝わってきました。
また、この地域は江戸時代より山谷(さんや)とよばれており、山谷庚申講はその地名とともに、今でも脈々と受けつがれています。
 銅板葺きの庚申堂が完成したのは平成五年です。現在は長寿・家内安全・商売繁盛・交通安全などを祈願する場所になっています。
敬白
平成二十二年十一月 山谷庚申講


f:id:nagatorowo2:20231016230519j:image上記解説板の通り、2基の庚申塔が祀られています。

f:id:nagatorowo2:20231016230506j:image青面金剛庚申塔

刻銘「于時宝永元甲申天霜月良辰(1704) / 奉造立庚申像一尊武州多麻郡泉村 / 同行三十壱人」
f:id:nagatorowo2:20231016230516j:image御尊容。言われなければ気づかなかったと思いますが、確かに索はともかく斧を持物とするのは珍しいですね。


f:id:nagatorowo2:20231016230512j:image青面金剛庚申塔


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刻銘「文化元子十一月吉日(1804) / 武州玉郡和泉村
f:id:nagatorowo2:20231016230509j:image都内ではあまり類を見ない像容です。

所在地