石仏石神を求めて

おもに石仏・石神などの石造物を探訪

七面大明神塔3基と馬頭観音塔ほか(つがる市木造川除・道円寺)

青森県つがる市木造川除字栄盛の道円寺(訪問日:2023年9月9日)f:id:nagatorowo2:20240602202921j:image芦屋集落にある日蓮宗寺院です。小舘衷三『津軽民間信仰』には当寺は「お産の神様」として紹介されており、

西津軽郡木造町芦屋の道円寺は日蓮宗の寺で七面様を祀っているが、妊婦がこの寺からお守りを買い、この寺で使いふるしたローソクをもらってきて出産のときにともす。もえ尽きるときに出産するから、なるべく短いものをもらってくるとか、この七面様から腹帯を借り、麻糸を一握りもらってきて、髪や手くび、足くびにまくと、お産は軽く血があがらないですむという。産後は腹帯は返し、麻糸の新しいのをたくさんにして奉納する。

小舘衷三『津軽民間信仰』178頁,教育社,1980

とのことです。
f:id:nagatorowo2:20240602202918j:image梵鐘の脇には石塔が並べ置かれています。向かって右から掲載します。
f:id:nagatorowo2:20240602202941j:image七面大明神塔①・稲荷神塔(七面大明神・稲荷神併刻塔)
f:id:nagatorowo2:20240602202925j:image刻銘「昭和四年旧四月十九日(1929) / 一戸一二 / 七面大明神稲荷大明神」※一戸一二は一戸マニの可能性あり。

自然石型


f:id:nagatorowo2:20240602202939j:image二十三夜塔
f:id:nagatorowo2:20240602202934j:image刻銘「明治二十七年五月二十三日 / 三上氏 / 二十三夜塔」

自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)


f:id:nagatorowo2:20240602202936j:image高祖塔(日蓮)①

刻銘「明治十四年九月(1881) / 七面山十七世中興日聴 / 点拝光□御公稱得講可之程 / 檀家中 / 六百遠忌報恩謝徳 / 高祖日蓮大菩薩」※点拝・・の部分は全く判読に自信なし。

自然石型


f:id:nagatorowo2:20240602202912j:image高祖塔(日蓮
f:id:nagatorowo2:20240602202900j:image刻銘「(紀年銘不詳) / 當山盛□三郎惣代人菊地金次郎(ほか2名略) / 當山十八世□〜□ / 六百五十遠忌報恩謝徳 / 高祖日蓮大菩薩

半加工自然石型


f:id:nagatorowo2:20240602202928j:image馬頭観音塔(馬像塔)
f:id:nagatorowo2:20240602202915j:image刻銘「昭和三十七年十一月十七日(1962) / 白戸直作建之」

半加工自然石型f:id:nagatorowo2:20240602202906j:image一馬像


f:id:nagatorowo2:20240602202904j:image七面大明神塔②
f:id:nagatorowo2:20240602202909j:image刻銘「嘉永四辛亥年七月建之(1851) / 芦屋川除氏子講中小林太右衛門菊地善太郎(ほか多数人名略) / 道円庵十三世日眼代 / 七難即滅七福即生 / 末法鎮守七面大明神

自然石型


f:id:nagatorowo2:20240602202931j:image七面大明神塔③。明治三十九年銘(1906)。主銘「南無七面大天女」。碑面正面下部には歌が刻まれています。そこに「黒溝台」という刻字が見え、他にも「戦傷者齋藤源六」という銘も確認できることから、日露戦争中に起きた黒溝台会戦戦没者ならびに負傷者の安楽を祈って建てられたものと思われます。

所在地