青森県青森市沖館5丁目の沖館稲荷神社(訪問日:2023年9月18日)倉稲魂命、須佐之男命、大市姫命の三柱を主祭神として祀る神社です。
境内には庚申塔が並べられており、それに対応する解説板がそばに設けられています。
翁口調での解説です。語り部のようでなかなか面白いです。天帝であるところを「偉い神様」に置き換え、庚申さまを猿田彦としているように、道教や仏教の色を排し神道の立場から庚申待を説いています。
星の神や食物の神などと共に祀るという点は、非常に面白い説明です。本来の庚申縁起とはかけ離れていますが、当地特有の庚申のお祭りの仕方だったのでしょうか。あるいは単に石塔の並びや刻まれた神名から独自の解釈、符会的に解釈をした結果、このような文章になったのかもしれません。
こちらも翁口調。
こちらが庚申塔群。右端のもの以外すべてに賽銭袋が掛けられています。背後にはツカ上げ(庚申のツカ)も確認できます。向かって右から掲載します。
文字庚申塔(猿田彦大神塔)①
刻銘「明和元甲申天九月十一日(1764) / 施主沖館村某古川村小田某(以下人名略) / 神猿田彦神阿奈猿田彦神速猿田彦神」
笠付角柱型、彫像(日天月天、瑞雲)
刻銘「文化六己巳年十一月四日(1809) / 願主生國勢州河之郡長田村森川藤蔵□飯邑加賀屋山三郎 / 猿田彦大神」
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
刻銘「安政二乙卯年六月吉日(1855) / 願主沖館村中 / 猿田彦大神」
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
刻銘「明治四十四年五月二十三日(1911) / 沖館村中 / 猿田彦大神月夜見命」
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
刻銘「明治廿丁亥年九月廿三日(1887) / 願主柿崎源内 𣐈﨑源内 / 月夜身命猿田彦大神」※柿﨑源内は市内にある源内幼稚園の創立者。
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
刻銘「明治十七申年八月吉日(1884) / 柿崎源内 / 妙見大神保食大神」一馬像
おまけ皇紀二千六百年記念碑道具の供養碑と「報徳の心」碑社殿
沖館稲荷神社の所在地