石仏石神を求めて

おもに石仏・石神などの石造物を探訪

兎霊供養塔と養蚕供養塔ほか(弘前市藤代1丁目・革秀寺)

青森県弘前市藤代1丁目の革秀寺(訪問日:2023年9月10日)f:id:nagatorowo2:20240304072009j:image津軽為信公を祀る曹洞宗寺院です。f:id:nagatorowo2:20240304072013j:image山門をくぐってすぐ右側に動物に関連する石造物が並ぶエリアがあります。向かって左手前のものから掲載します。
f:id:nagatorowo2:20240304072029j:imageまずはウサギを模った像を載せた、一見狛犬のような石造物から。
f:id:nagatorowo2:20240304072051j:image兎霊供養塔
f:id:nagatorowo2:20240304072043j:image刻銘「昭和十四年四月(1939) / 弘前養兎組合 / 兎霊供養塔」f:id:nagatorowo2:20240304072032j:imageウサギの像を正面から。そもそも養兎産業は日本においては第二次世界大戦の勃発よりやや前に隆盛し、食糧不足に苦しむ戦時中の食糧源として重宝されたようです。また、食肉としてだけでなく毛皮の生産という点から軍需品の充実にも寄与したといいます。

現在では需要の低下や生産者の減少によって養兎業全体の規模は小さくなっており、あまりメジャーな産業ではなくなりましたが、養兎を続けている地域も少なからずあります。f:id:nagatorowo2:20240304072036j:image横から。丸々と太った体躯で表されています。養兎のうさぎとして理想的な肉付きと毛並みで彫り上げられており、昭和十四年という紀年からも、生産者の養兎発展への切実な願いや慈悲の心を感じ取れます。f:id:nagatorowo2:20240304072047j:imageななめ後ろから。曲線を描く体躯に可愛らしい丸いしっぽが付いており、とてもキュートです。f:id:nagatorowo2:20240304072039j:imageうさぎの腹の下には手のひらサイズの狛犬っぽいものが置かれていました。これもうさぎを模して造られたものでしょうか。


f:id:nagatorowo2:20240304072017j:image石造供養塚。撮影するのを忘れていましたが、これの左後ろにも「動物塚」主銘の石塔が置かれています。


f:id:nagatorowo2:20240304072021j:image養蚕供養塔(蚕霊供養塔)
f:id:nagatorowo2:20240304072025j:image刻銘「昭和四秊十月建之(1929) / 弘前市養蠶組合 組合長古山勝太郎 / 養蠶技手掛端金太郎 / 松堂書 / 亀岡刻 / 蠶靈供養塔」

こちらは普遍的に見られる養蚕信仰にまつわる供養塔ですが、津軽地方においてはこのような石造物は片手で数えられるほどしか確認されておらず、大変珍しいです。

革秀寺の所在地