青森県弘前市鬼沢字山ノ越の堂ヶ沢稲荷神社(訪問日:2024年9月1日)
記念すべき「津軽地方庚申塔」カテゴリー200回目の記事です。堂ヶ沢集落の北端、鬱蒼とした杉林で構成された社叢の中に稲荷神社が鎮座しています。
「奉納稲荷神社」扁額。「堂ケ沢町会一同 昭和五〇年八月十日」と記す。
社殿の向かって右脇に赤い木鳥居があり、その奥に大量の石塔石碑がずらりと並んでいます。
まずは記念碑類から。
明治百年記念碑。昭和四十三年銘(1968)。
稲荷神社落成記念碑。昭和四十一年銘(1966)。堂ヶ澤町会一同による建立。
皇紀二千六百年奉祝記念碑。昭和十五年銘(1940)。堂ヶ澤村中による建立。上部には八紘一宇(八紘弌宇)の文字を浮彫りしています。
庚申塚移転記念碑。背面に神社境内に庚申塔群が移転したいきさつを刻んでいます。相当長いです。
記念碑の背後にはたくさんの庚申塔が犇めいています。先の記念碑の銘文にあった通り、これらはかつて現在の堂ヶ沢町会集会所に置かれていたものです。
あまりに数が多いのと横一列のように並んではいませんので、おおよそ半時計回りの順で掲載していきます。
文字庚申塔①・二十三夜塔(庚申・二十三夜併刻塔)
刻銘「明治廿八年旧九月二十三日(1895) / 大鰐加助(ほか12名略) / 庚申塚二十三夜」
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
文字庚申塔②
刻銘「明治二十四卯年旧六月廿八日(1891) / 村中 / 庚申塔」
自然石型、彫像(日天月天)
文字庚申塔③
刻銘「明治二十二丑年旧十一月十八日(1889) / 庚申塔」
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
文字庚申塔④
刻銘「文政五壬午年八月十九日(1822) / 小山清左衛門(ほか4名略) / 庚申塔」
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
文字庚申塔⑤
刻銘「昭和四十一年十月四日建立(1966) / 庚申塔」
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
文字庚申塔⑥
刻銘「明治三十三乙未年旧三月廿八日(1900) / (人名8名略) / 庚申塔」※明治三十三年は庚子年。
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
文字庚申塔⑦
刻銘「昭和十一年旧四月十八日(1936) / 村中 / 大鰐勘太(ほか17名) / 庚申塚」
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
文字庚申塔⑧
刻銘「慶應四辰年三月十二日(1868) / 村中 / 葛西九兵衛(ほか3名略) / 庚申塔」
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
文字庚申塔⑨
刻銘「大正十四年旧三月十四日(1925) / 村中 / 大鰐亀次郎(ほか20名略) / 庚申塔」
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
文字庚申塔⑩
刻銘「大正元年旧九月二日(1912) / 村中 / 鳴海又三郎(ほか11名略) / 庚申塔」
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
文字庚申塔⑪
刻銘「昭和廿二秊十月廿五日(1947) / 講中一同 / 庚申塔」
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
文字庚申塔⑫
刻銘「元治二丑年三月二十五日(1865) / 村中 / 葛西九良士(ほか4名略) / 庚申塔」
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
文字庚申塔⑬
刻銘「維時平成十五年八月十日(2003) / 堂ヶ沢稲荷神社氏子須藤辰雄(ほか11名略) / 庚申塚」
記念碑型、彫像(日天月天、瑞雲)
文字庚申塔⑭
刻銘「慶應二寅年三月朔日(1866) / 村中 / 葛西九郎士(ほか4名略) / 庚申塔」
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
文字庚申塔⑮
刻銘「明治十二年卯三月十六日(三月廿六日?)(1879) / 村中 / 鳴海清之丞(ほか6名?略)」
自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)
無銘の石塔。並び的にこちらも庚申塔だったものでしょう。
最後に余談ですが、この地域には珍しい苗字である大鰐姓が多く住まわれており、庚申塔の連名にも度々登場しています。
かなりマニアックな楽しみですが、こうした石造物に刻まれた苗字を探すのも面白いです。
堂ヶ沢稲荷神社の所在地