東京都荒川区西日暮里3丁目3-8の養福寺(訪問日:令和6年2月17日)
養福寺の仁王門を潜らずにそのまま本堂へ向かうと左手に2基の青面金剛像庚申塔が並んで立っています。どちらも付近ではあまり見かけない珍しい造形をしている特徴的な石仏です。


刻銘「宝永四丁亥年十二月吉日(1707) / 奉建立 / 円常院了月日照(ほか交名26人)志四人 / 〈ウーン種子〉」
原刻字「寶永丁亥年十二月吉日 / 圓常院了月日照(ほか交名26人)志四人」
御尊容(立像、合掌一面六臂、駒型)、その他像容・彫像(日天月天、瑞雲、三叉戟、矢、宝輪、弓)
二邪鬼像、二夜叉像、二鶏像(牡牝一対)、標準型三猿像
二邪鬼はどちらも肘をついて正面を向き余裕な表情を浮かべているものの、頭上には自分らより何倍も大柄な青面金剛が乗っかっていて、そのギャップが面白いです。左右に座っているのは二夜叉(二薬叉)です。通常は四夜叉(四薬叉)が立像で表されます。


刻銘「元禄十五壬午年□月八日(1702) / 願主(交名5名略)」※元禄十五壬午年二月八日の造立ヵ。その場合、初庚申の日造立。
御尊容(立像、合掌一面六臂、板駒型)、その他像容・彫像(日天月天、瑞雲、髑髏瓔珞、生首型ショケラ、弓、羂索)
標準型三猿像
生首型ショケラは千葉県の白井市や松戸市などによく見られるタイプのショケラです。都内では数少なく貴重です。持物の配し方も江戸の青面金剛のそれとは少し異なるため、下総国出身の石工の手によるためか、これの造立願主となった庚申講が有していた庚申掛け軸がこのような図柄であったために、このような作品に仕上がったのだと思われます。髑髏瓔珞も刻んであるところから察して、付近の浄光寺にある庚申塔と同一の石工が手がけたものの可能性があります。
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養福寺の所在地 35.72929556598877, 139.76802187878056





