石仏石神を求めて

おもに石仏・石神などの石造物を探訪

二十三夜塔と寛明行者碑(富山市東猪谷・路傍)

富山県富山市東猪谷の路傍(訪問日:2024年3月29日)f:id:nagatorowo2:20240411152501j:image大雨の東猪谷集落f:id:nagatorowo2:20240411152505j:image集落の中央部、三叉路に石仏が2基並んでいます。右手の大きい石仏は寛明という行者にまつわるもので、県東部に点在しているようです。f:id:nagatorowo2:20240411152509j:image石仏の間に「三夜様 平成九年 野菊の会」と墨書された看板が倒伏していました。三夜様(サンニャサマ)というのは二十三夜待の主尊、勢至菩薩のことでしょう。次に掲載する写真からもほぼ確実と思います。

『日本石仏図典』に曰く、この周辺には月待と日待の行事が行われているとのこと。前者は正月、八月、十二月の二十三日に女だけで行われ(男女混合のところもある)、後者は八月八日と同月十四日に行われ、これは男だけの行事だそうです。

また、このサンニャサマには月待当日に線香と灯明を立てるらしいです。行事自体はこの像で行われるわけではないとのこと。
f:id:nagatorowo2:20240411152513j:image二十三夜塔(勢至菩薩坐像塔)
f:id:nagatorowo2:20240411152457j:image刻銘「天保亥年九月(1838)」f:id:nagatorowo2:20240411152517j:image御尊容(坐像、自然石龕型)、その他像容・彫像(日天月天)


f:id:nagatorowo2:20240411152520j:image寛明行者碑(高祖塔、六字名号塔)


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刻銘「明治十五年初夏造立(1882) / 南無阿弥陀佛 南無遍照金剛 / 石屋村 石工 牧喜右エ門 / 東猪谷村 發起人 谷上十兵衛 / 梵字〈ア〉」f:id:nagatorowo2:20240411152524j:image御尊容(坐像、自然石龕型)

猪谷一円は石仏の里と呼称されるだけあり、2基とも保存状態、像容の精緻さは一級品です。

所在地