富山県富山市東猪谷の路傍(訪問日:2024年3月29日)
大雨の東猪谷集落
集落の中央部、三叉路に石仏が2基並んでいます。右手の大きい石仏は寛明という行者にまつわるもので、県東部に点在しているようです。
石仏の間に「三夜様 平成九年 野菊の会」と墨書された看板が倒伏していました。三夜様(サンニャサマ)というのは二十三夜待の主尊、勢至菩薩のことでしょう。次に掲載する写真からもほぼ確実と思います。
『日本石仏図典』に曰く、この周辺には月待と日待の行事が行われているとのこと。前者は正月、八月、十二月の二十三日に女だけで行われ(男女混合のところもある)、後者は八月八日と同月十四日に行われ、これは男だけの行事だそうです。
また、このサンニャサマには月待当日に線香と灯明を立てるらしいです。行事自体はこの像で行われるわけではないとのこと。
二十三夜塔(勢至菩薩坐像塔)
刻銘「天保九亥年九月(1838)」
御尊容(坐像、自然石龕型)、その他像容・彫像(日天月天)
寛明行者碑(高祖塔、六字名号塔)



刻銘「明治十五年初夏造立(1882) / 南無阿弥陀佛 南無遍照金剛 / 石屋村 石工 牧喜右エ門 / 東猪谷村 發起人 谷上十兵衛 / 梵字〈ア〉」
御尊容(坐像、自然石龕型)
猪谷一円は石仏の里と呼称されるだけあり、2基とも保存状態、像容の精緻さは一級品です。
所在地



