石仏石神を求めて

おもに石仏・石神などの石造物を探訪

桜林の「幸福の石碑」(弘前市百沢)津軽地方の庚申塔 #228

青森県弘前市百沢字東岩木山岩木山桜林公園(訪問日:2023年9月13日)

岩木山神社神苑。春になると地元弘前をはじめ、県内から花見をしに多くの人が訪れる有名な桜スポットだそうです。訪問は夏の終わりごろでしたので、当然桜は一輪も咲いていませんでした。

f:id:nagatorowo2:20241206215945j:image公園の入り口の看板には津軽国定公園 岩木山 神苑桜ヶ丘」とあります。
その近くには公園の説明を付した看板があり、「幸福の石碑」なるものがある旨記されています。f:id:nagatorowo2:20241206215941j:image

解説板 桜林公園
明治の初め、モミヂやコブシ桜を移植し「幸福の石碑」を建立、「百沢公園」と命名しました。明治37年日露戦争開戦記念として、崇敬者の協力の下1万本の吉野桜が植樹されました。以来、桜の名所「桜林公園」として春は桜、夏は青葉、秋は紅葉と多くの人々の想いの場として愛されております。「幸福の石碑」は現桜林公園の中央・杉木立(目印として植えられた)の下に現在も残っています。面積はおおよそ3.8haで約1.000本の桜があります。
Sakurabayashi Park
Early in the Meiji era. splendid maple and kobushi cherry trees were transplanted to the garden and the "Stone-Monument to Happiness” was erected there. This garden came to be called "Hyakuzawa Park.
In 1804, 10.000 Yoshino cherry trees were planted here by volunteers to commemorate the outbreak of the Russo-Japanese War. Since then, the area has been called "Sakurabayashi Park. In spring. the park is famed for its cherry blossoms, in summer, the park baths in lush greens, and in autumn, the manifold colors of the follage are wonderful. Many people come here to relax and under the influence of the sacred spirits in the park, many couples have been known to fall in love here. The "Stone Monument to Happiness” remains today in the center of Sakurabayash Park and is easily recognized by the commemorative Japanese Cedar planted beside it. The area of the perk is about 3.8 hectares and has approximately 1.000 cherry trees.


f:id:nagatorowo2:20241206215933j:image上掲の解説板の通り、公園の中央部には杉の密集したエリアがあります。その中に紛れて件の「幸福の石碑」が置かれています。幸福の石碑といいますが、これは岩木山周辺地域、主に鰺ヶ沢町に分布を見せる「幸神」銘の庚申塔です。
f:id:nagatorowo2:20241206215929j:image文字庚申塔(幸神塔)
f:id:nagatorowo2:20241206215937j:image刻銘「文政九丙戌四月(1826) / 願主安倍仲□〜□佐藤和□〜□ / 奉勧請幸神」

自然石型、彫像(日天月天、瑞雲)

これは明治初期に建立したものと先の解説にありましたが、造立年はそれより半世紀近く前の文政年間です。恐らく、ここでいう建立とは「安置」という意味で使われているものと推量します。

幸神とは猿田彦大神の異称であるにも関わらず、そのことや庚申信仰を知らない人が字面だけで「幸せの神さま」としてここに運び込んだのでしょう。

 

あと、資料には岩木山の百沢口、すなわちこの場所から岩木山奧宮への参詣道の入り口に、「賽神建石」なる石神があると記されていました。

その石の祭神は八衢彦神と八衢姫神。ここから登山する民衆はまずこれを拝んで上下安全を祈るとのこと。

賽神(サイノカミ)という表記ですが、上の庚申塔も同じ読みである幸神を主銘としていることから、賽神建石とは本庚申塔のことを言っているのかもしれません。ほかに紀年などの情報があれば良いのですが、あいにくそれらは記載されていません。

f:id:nagatorowo2:20241206215924j:imageそばには信楽焼のタヌキに似た石造の狸像がありました。杉に寄りかかっています。なぜここにあるのかは不明。

岩木山桜林公園の所在地