石仏石神を求めて

おもに石仏・石神などの石造物を探訪

東京都23区の庚申塔 #155(杉並区久我山1丁目・路傍)

東京都杉並区久我山1丁目の路傍(訪問日:2023年8月17日)f:id:nagatorowo2:20230824170819j:image集合住宅の裏手(?)、道路に面した場所に覆屋が建っており、その中に石仏が納められています。f:id:nagatorowo2:20230824170815j:imageそばには解説板が設けられています。

解説板 民間信仰石塔
 ここに建立されている石塔は、安永五年(一七七六)銘の庚申塔享保十五年(一七三〇)銘の観音塔です。
 庚申信仰は「長生きするためには庚申の夜は身を慎しみ、諸善を行い、徹夜をすべきである」という中国の道教説から始まったようです。それが日本に伝わってからは、中世以降仏教や神道の信仰と習合して庶民の間にひろまりました。江戸時代には、ここに見られるような青面金剛を本尊とした石塔を造立し悪疫退散、村内安全等の祈願を行うことが盛んになりました。
 この庚申塔は、この辺りが久我山村字原といわれた頃、当場所より少し西寄りの井ノ頭道の交差点に建立されたものです。ところが戦争中周辺が軍用地となり、塔の管理も十分に行われないまま放置されてきましたが、昭和五十二年一月地元有志者の奉仕により、この地に安置されました。
 なお、観音塔は昭和五十五年四月この近くで発見され、安置されたものです。この観音塔造立の目的は、刻字の一部が欠けているため不明ですが、彫られている観音は如意輪観音で、衆生の欲望と万苦を救済する菩薩とされているものです。
 私たちもこのような文化財を一層大切に守りつづけたいものです。
昭和五十六年二月十五日
杉並区教育委員会


f:id:nagatorowo2:20230824170834j:image中央に庚申塔、その左右に如意輪観音塔が配されています。

f:id:nagatorowo2:20230824170842j:image青面金剛庚申塔(併用道標)

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刻銘「安永五丙申十月五日(1776)」

「左り ふちう道 / 右 井ノ頭道」f:id:nagatorowo2:20230824170845j:image御尊容(立像、一面六臂、合掌型、山状角柱型)、その他像容・彫像(日天月天、瑞雲、戟(宝剣?)、弓、宝輪、矢)


f:id:nagatorowo2:20230824170827j:image如意輪観音塔①。墓塔。
f:id:nagatorowo2:20230824170831j:image如意輪観音塔②。銘文は確認できませんが、恐らくこちらも墓塔でしょう。

f:id:nagatorowo2:20230824170838j:image賽銭箱のとなりに置かれていた案内には、こちらを管理されている方が高齢となられて管理も行き届かない現状が訴えられていました。ナマモノのお供えは厳禁のようです。

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